溜まっていた有休を会社を辞める前に一気に使う。
よくある話です。
でも私はこのように言われたことがあります。
「辞める前にすべての有休を使うことは会社として許していない。許可できない」
なるほど。会社として許していないなら仕方ない。。。
いや、ちょっと待て。
本当に有休休暇って辞める前に使ってはいけないのか?
確かに「時季変更権」って聞いたことあるけど、この上司が話していたことを素直に聞くべきなのか?
辞める前の有休消化について考えていきます。
基本的に有給取得を会社が拒むことは出来ない
有給休暇を取りたいと思ったとき、基本的に会社は拒否できません。
なぜか有休をとる時に「なんで休むの?」と理由を聞かれることがあります。
有休に何をするかなんて、一切説明する義務はありません。
厚生労働省のサイトにはこうあります。
年次有給休暇の取得日は労働者の権利ですから、原則として、労働者が好きな時季に年次有給休暇をとる日を指定することができます。ただし、労働者が指定した時季に休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」には、使用者は、他の時季に変えてもらうこと(時季変更権)が認められています(労基法39⑤)。
引用:https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/zigyonushi/yukyu/q1.html
基本的には好きな時期に取得可能です。
「〇月〇日に有給休暇を頂きます」
これでOK。
何か申請書類を出すという法的なルールも無いので、電話でいつ休むか伝えれば問題ない。
上で引用した厚労省のサイトにも記載されている「時季変更権」について述べていきます。
時季変更権を行使したなら別の日に有休を与える必要あり
時季変更権について、再び厚生労働省の記事を見てみましょう。
使用者の時季変更権の行使が認められる「事業の正常な運営を妨げる場合」かどうかは、 個別的、具体的、客観的に判断されています(S23.7.27 基収2622)。裁判例では、労働者が所属する事業場を基準として、事業の規模、内容、労働者の担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきものとされています。
引用:https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/zigyonushi/yukyu/q1.html
会社側は「仕事の繁忙期でさすがにこの時季に長期休暇は厳しい。なんとか別の時季に変えてくれないか」という拒む権利はあります。
ただこれは「時季を変更する権利」です。
言い換えると、
会社側は有休を取得する時期を労働者に変えてもらうだけ。代わりに別の日に有休を取得することが出来る。
有休を取るな!なんてことは会社側として許されていないのです。
また時季変更権が許されるのはあくまで合理的範囲でのみです。
会社側は有給休暇を取らせまいと、2か月~3か月以降に休みをズラす話を持ち掛けてきたとします。
これ合理的ですか?繁忙期続きすぎじゃないですか?
一般常識を考えると、翌週・翌々週ぐらいが限度でしょう。
プロジェクト単位で動いているケースやイレギュラーなパターンもあるので、「合理的」って難しいですが変な理由を付けて有休を取らせまいとしてくるようであれば訴えるべきです。
では辞める前の有休消化についての違法性は?
では辞める前の有休消化を行う点について書いていきます。
繰り返しですが、私は上司にこう言われました。
「辞める前にすべての有休を使うことは会社として許していない。許可できない」
法的にNGです。
有給休暇取得って会社は拒むことの出来ない労働者の権利です。
厚生労働省のサイトで、
「年次有給休暇の取得日は労働者の権利ですから、原則として、労働者が好きな時季に年次有給休暇をとる日を指定することができます」
とハッキリ明記しているので間違いない。
では時季変更権を会社が求めてきたらどうでしょう?
万が一時季変更権を行使しすべきと判断されたとして、有休は時季を変えて与える必要があります。
辞める人間であれば、〇月末までと決まっているはず。その先は無い。
では結論です。
辞める前の有休消化は法的にも問題なし。
拒まれたらその会社に問題があります。
結局私は泣き寝入りでしたが、同じようなことがあれば今度は容赦なく戦います。
ちなみに「その会社」とはPという大手企業にぶら下がってるSESやエンジニア派遣メインの会社。
辞める前の有休休暇を拒まれたなら法的な角度や最悪労働基準監督署、弁護士等相談することも検討してみましょう。
泣き寝入りは私のように後から後悔しますよ。
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